MyPacE

自分のペースで進み行く、全スキルマスターと言うお馬鹿な山頂へ。

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2話 朝日  

 朝の目覚めは不思議に、目覚ましも要らずでスッキリとしていた。

 あの夜、眠気で頭回らずになりながらも考えた結果、用がある人の名前をメモ用紙に書き込むこととなった、

 そして遠矢はそのメモに視線を投げると見慣れた自分の字で、2名ほどの名前が書かれていた。



 早木比奈(はやきひな)、内野一樹(うちのかずき)。

 遠矢はたった2名の名前をぼんやりと眺め、ふと小さく溜め息を吐いた。

 この中では現在通う大学には居ない、っとなると中学、高校ぐらいの友となる。

 これほどの縁しかないんだなと思えば自分ながら寂しい奴だと思った。



 今日、最後の通学だと言うのに遠矢は欠席すると心から決めていた。

 その理由もただ面倒臭いだけで、正直言えばそんな大学に時間かけてやれるほど大切ではないのもある。

 遠矢はベランダの窓から晴れ渡る空が視界に入り、思わず目を細めた。







 昨晩の雨は一体なんだったのか、そんな疑問を忘れそうになるほどである。

 電話の件を盗み聞きして「楽しんで来い」だの何だの言っていそうで少々腹が立つ。

 それほどの晴天であり、こんなにムカつくと感じたのは初めてだと一人感心してしまった。







 「まずは・・・内野先輩から行ってみるか。」







 荷物はほとんど入っていない、スッカラカンの状態で遠矢は家から飛び出していった。






















 内野一樹・・・彼は遠矢が高校の時に知り合った先輩的存在である。

 当時部活など入ったことも無い遠矢だったが、彼が居たからこそ高校生活もある程度充実出来た程・・・。

 一樹は多少身勝手な行動やら思考を巡らせるなど面倒なところもあるが・・・。

 『遠矢』と言う名前に「名前に矢が付くなら弓道の才能もあるはずだ!」など勝手に解釈し、半分強制的に遠矢を弓道部に入部させたことがある。

 そのお陰である程度弓矢に関しての知識が備わったものであった。



 そんなことを遠矢は思い出しながら、彼の自宅へと向かった。

 っと言ってもそれほど遠くは無く、寧ろ近いと言っていいか・・・。



 家から歩いて5分、まるでアニメに出てきそうな、赤いペンキで塗られた屋根が見えた。

 2階建ての一軒家で古くも新しくも無いはずが、朝日が照らすせいか新築のよう・・・。

 こんな家を持っているなら、彼の口癖「俺貧乏だからさぁ」と言う言葉も取り消して欲しいと思った。



 そこに彼は住んでいる、確か彼と彼の父の2人暮らしとなっていたか、と遠矢は思い出す。

 しかも彼の方は高校出た後就職の道へと進んだ為、2人共仕事で抜け殻となっている恐れがある。

 もし居なければ次に行こうかと心から決めてインターホンを鳴らした。







 『ハイ、どちら様ですか?』







 内野一樹、用のある本人の声が聞こえて思わず胸を撫で下ろした。

 少々間が空いた時、遠矢はインターホンに向かって言う。







 「田城ですが・・・先輩、突然で悪いですが時間あります?」







 すると相手は何か急いでいるよう、『ガチャン』とインターホンが切れる音が大きく響いた。

 再び沈黙の時間が数秒流れ・・・ドアの向こうからガサガサと騒がしく聞こえ、鍵が解除される。

 そして出てきたのは遠矢よりも少々背が高く、ひょろりとした体格の男・・・一樹だった。



 細身であるが、育ちの良さそうな愛想ある顔に、四六時中輝きが失われそうに無い人懐っこそうな瞳。

 ボサボサしている漆黒の短髪に耳には控えめに小さなピアスをつけている。

 肌寒いと言うのに黒いタンクトップに普通の長いジーパン姿であった。







 「久し振りだな田城!元気にしてたか!」

 「お久しぶりです、内野先輩。」







 遠矢は軽く頭を下げてお辞儀した。

 愛想良く振舞うのは一樹にとっては普通らしく、全力で歓迎して全力で喜ぶ。

 多分、俺にとっては一生手の届かない存在なのかなと遠矢はふと思った。







 「どうしたんだ?折角の大学サボって会いに来てくれるほど俺のことが恋しかったか!」

 「大声でそんなあり得ないことを言わないで下さい。」

 「相変わらずだな田城は。」







 一樹は明るい笑み全開にして一人豪快に笑う。

 こんな輝かしく、元気と勇気を与えてくれる人と居られなくなると思えば・・・。

 遠矢は首を強く左右に振り、不安を隠そうと笑顔で問う。







 「内野先輩、俺と会えるのは今日で最後だと言うこと、信じます?」







 すると、問い出した遠矢でも感じた程の不気味な沈黙の間が流れた。

 無理もない話ではあるが、やはり出来れば・・・笑顔で笑い飛ばしてくれと遠矢は刹那に願う。

 いくらマイペースだからと言って、そんなあっさりと会えなくなるのも悲しいことだが・・・。







 「田城、そんなことを伝えに来たのか?」

 「・・・え?」







 遠矢はいつの間にか地を見つめていた顔をふと上げ、間抜けな声を漏らした。

 笑っていた・・・そうだ、遠矢が望んでいた笑顔を一樹は浮かべていた。

 予想もしていない言葉を言い放って。







 「どう言うことですか・・・?」

 「もう一度、昨日のことを思い出してみるといいよ。」

 「・・・・・・。」







 唖然とするしかなかったのか。

 遠矢は優しく声をかける一樹に言い返せる言葉も見つからなかった。



 そのまま・・・一樹は手を振りドアをぴしゃりと閉めてしまい、遠矢の心は途方に暮れる。

 あまり進めることの出来ない、重い足取りで早木比奈の自宅へと向かった。





















 「この世の邪魔者は・・・お前だけじゃないんだよ・・・。」

 そう呟くと、それを聞いたかのように、彼の背後から白い影が生まれた・・・。











 09/05/04 作成

 10/06/03 公開

category: マビノギ

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